自己破産したら給料はどうなる?

多くのサラリーマンにとって、毎月の給料は、日々の生活に欠かせない重要なものです。
自己破産をすることで、その給料が差し押さえられてしまうのでは、という不安に陥ってしまったことはないでしょうか。
給与を直接取り立てられたら、生活できなくなってしまいます。

 

 

殆どのサラリーマンにとっては、唯一の収入源ですので、これは大変な事態です。
ここでは、自己破産したら給料はどうなるのか?差し押さえられるのか?を解説しています。
参考にしてみてください。

 

給料差し押さえの基礎知識

差し押さえとは、債務者の持つ財産処分権という権利を、一時的に剥奪し、債務者の財産を換金できる状態にしてしまおうという債権者の手段です。
督促状などに、「差し押さえ」という文言が記述されていることはよくあることです。

 

給与の差し押さえでは、その全額が対象となるわけではありません。
債権者は法律に則って差し押さえすることになるので、その法律を超えて何かするということは不可能です。

 

給料の場合、毎月引かれている社会保険料などを差し引いた、いわゆる手取りの額、この金額が44万円以下かそうでないかで対応が大きく異なってきます。
手取り額が44万円以下の場合は、給与の4分の1を超えて差し押さえられることはありません。

 

一方、44万円を超える手取り額の場合では、33万円を超える金額を押さえることができないと定められているのです。
差し押さえと聞くと大変物騒な印象を受けますが、このように、法律によって色々守られている事柄でもあるのです。

 

自己破産申し立て前の給料差し押さえ

借金して返済しないまま放置していると、金融会社などの債権者が裁判所に支払督促申立を起こし、給料差し押さえなどの強制執行を行います。
誰でもそうですが、借金していることは、勤務先の会社には知られたくないと思います。

 

ところが、金融会社などの債権者から強制執行があった場合、確実に会社にバレてしまいます。
差押命令の書類が、会社宛てに送られてしまうからです。

 

借金したからといって、解雇になる会社は少ないと思いますが、可能性はゼロではありません。
多額の現金を扱うような職種では、配置換えなどの対象になってします恐れもあります。

 

こうした事態を防ぐためにも、自己破産の申し立ては有効です。
自己破産手続開始以降は、債権者は給料の差し押さえなどの強制執行はできなくなります。
既に給料差し押さえを受けている状態であっても、管財事件の場合は、自己破産手続きが開始された時点で、強制執行を中止させることができます。

 

破産法 第四十二条  破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

 

2  前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

 

自己破産の事件種別で給料差し押さえの扱いが変わる

強制執行の取り消しは、事件種別が管財事件か同時事件かで、実務上の対応がことなります。
参考:自己破産の事件種別

 

管財事件の場合

管財事件の場合、自己破産手続きが開始されたら、申立人の財産は破産財団(破産手続きで処分される財産)となります。

 

自己破産開始後の財産処分は、破産法によるものとなり、各債権者が勝手に債権者を回収することはできません。

 

給料差し押さえの強制執行も失効することになります。
実務上では、破産管財人が、強制執行の取り消しを、執行裁判所に上申します。

 

同時廃止事件の場合

同時廃止事件では、自己破産開始決定と同時に手続きが終了します。
破産管財人は存在しません。

 

ということは、免責手続きが終了するまで、給料の差し押さえは続くのでしょうか?
それでは債務者の更生を妨害することにもなります。

 

そのため新破産法では、同時廃止手続きであっても、自己破産開始決定と同時に強制執行を中止できるように条文が改正されました。

 

破産法 第二百四十九条 免責許可の申立てがあり、かつ、第二百十六条第一項の規定による破産手続廃止の決定、第二百十七条第一項の規定による破産手続廃止の決定の確定又は第二百二十条第一項の規定による破産手続終結の決定があったときは、当該申立てについての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは外国租税滞納処分若しくは破産債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(以下この条において「破産債権に基づく強制執行等」という。)、破産債権に基づく財産開示手続の申立て又は破産者の財産に対する破産債権に基づく国税滞納処分(外国租税滞納処分を除く。)はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分で破産者の財産に対して既にされているもの及び破産者について既にされている破産債権に基づく財産開示手続は中止する。

 

ただし、破産管財人はいませんので、実際に給料の差し押さえを中止するには、申し立て人は失効裁判所に、強制執行取り消しを上申することになります。

 

自己破産手続き中の給料は差し押さえられる?

金融機関などの債権者からの給料差し押さえは、自己破産を申し立てることで解除されます。
一方で、自己破産すると所有財産を処分する必要もあります。
給料も当然ですが、財産の一部です。

 

ここで、自己破産したら結局は給料を差し押さえられのか疑問に感じますよね?

 

自己破産後も残せる財産(自由財産)は、現金99万円以下、預金であれば20万円以下です。
参考:自己破産後も残せる財産は現金99万円、預貯金20万円

 

ということは、給料は銀行振込の会社が殆どですので、20万円を超える部分は差し押さえの対象になるのでしょうか?
法律的な原則から言えば、給料も差し押さえの対象になります。

 

とは言え、自己破産手続開始決定の時点で、すでに発生している給料(支給が確定している給料)のみが対象です。
自己破産手続開始決定の以降に働いた分の給料(新得財産)は、差押え対象外です。

 

ただし、実際には給料を差し押さえられることはないと思います。
法律的には給料も差し押さえの対象なのですが、生活の糧を取り上げてしまったら生きていけません。
そうなると、自己破産する人はいなくなってしまいますよね?

 

裁判所の基準でも、給料の差し押さえについては、触れていません。
自由財産として認められているわけではありませんが、事実上は自由財産として扱われている状態なのですね。

 

自己破産後の給料も差し押さえられる?

自己破産手続きが終了して免責許可が決定されれば、借金はゼロの状態になります。
法理的にも破産者の状態ではなくなるので、給料を差し押さえられることはありません。

 

ただし、債権者として届け出ていない借金があれば、話は別です。
自己破産しても、手続きの中で届け出ていない債権まで免責されるわけではありません。
債権者一覧に漏れが無いように、厳重に確認することが必要なのです。

 

弁護士事務所に相談すれば、手続きに漏れがないように確認してくれます。
自己破産は自分でも手続きできますが、複雑で時間もかかります。
専門家である弁護士に依頼することをオススメします。